教育とは何か?どのような営みなのか?

「教育」と聞いて皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょうか。このページでは、「教育」とは何なのか、どのような行いなのかについて書いていこうと思います。

教育とは

教育」とは?という問いに対して、皆さんはどのように答えるでしょうか?

  • 子どもが将来の道を見つけるための行い
  • 勉強を教えること
  • 社会で生きていけるようにすること

と人によって答えが違うと思います。
しかし、これらの答えの中に共通することが教育の「本質」なのではないかと思います。
それを踏まえて、教育とは以下の営みであると考えます。

人間をつくる営み

教育とは、「人間をつくる営み」であると考えます。もしかすると「つくる」という言葉に違和感を覚えるかもしれませんが、育てるや成長させるではなくあえて「つくる」とさせていただきます。
では、「人間をつくる」とはどういうことなのでしょうか

教育は人間を人間たらしめる

教育は「人間をつくる営み」であるということは、教育をすることによって人間が人間になるということです。
哲学者のカントの言葉に以下のものがあります。

人間は教育によって始めて人間となる

この言葉は、人間は教育によって、精神的にも身体的にもその可能性を開花させるということがわかります。また、同時に人間社会で生きていくための必要な社会的能力を身に付けさせることができるのです。
上記のことを証明するかのような事例も存在します。

狼に育てられた子どもの話

狼
1867年のインドにおいて、ダイナ・サニチャーという6歳ほどの少年が森の中で狼の群れと同じ洞窟で過ごしていたところをハンターによって発見されました。
少年はサニチャーと名付けられて、インドにある孤児院で育て、教育されました。その孤児院でサニチャーは生肉を食べたり、地面から食べ物を食べたり、服を剥ぎ取ったりする狼のような行動をとっていました。孤児院では、これらの行動をやめるようにサニチャーに教育を施しました。
また、発見当時は四足歩行をしていましたが、直立で歩行できるようになり、喜びや怒りなどの感情表現もできるようになりました。
しかし、サニチャーは孤児院での教育があっても最後まで(25歳)言語を話すことはできませんでした。

このことから、乳幼児期に周囲の人間との言語によるコミュニケーションを取らないと、言語能力が育成されないことがわかります。
つまり、人間は社会的環境の中で、周囲の人間から影響を与えられることで、人間になっていくのです。

また、十数年かけても言語能力が発達しなかったことから、人間にとって発達に段階があり、適切な段階で見合った働きかけを行わないとその能力が目覚めないこともわかります。

このように、人間を人間足らしめるための行いを教育と言えるのではないでしょうか。

教育とは

再びこの問いに戻ってきました。教育とは、「人間をつくる営み」です。
しかし、教育を行う側は常に教育を受ける側(主に子ども)のことを考え、教育を受ける側が将来どのような姿になってほしいかについて考える必要があります。ただ漠然と教育を受ける側に働きかけるのみでは、それは教育とは言えません。
現在の教育を受ける側の姿と将来の姿を比較し、「どのような能力・道徳などが必要であるのか」「その能力・道徳などはどのようにして育成できるのか」について考え、計画、実行することが教育を教育たらしめ、その教育が人間を人間たらしめるのです。

つまり教育とは「人間を人間にするために」将来像を想定し、目的・目標を立て、実行する行為であるのです。

この目的・目標は、時代や国、文化によって変わりゆくもので、現在の日本の教育の目的・目標については別記事で整理していきたいと思います。

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