皆さんは、日本の教育の目的・目標を知っているでしょうか?今、子どもが受けている教育はどこを目指して行われているのかについて理解することはとても重要なことです。
この教育の目的・目標は、これからの日本が向かう方向を大きく示しています。なぜなら、その教育の目的・目標に沿った教育が日本で行われ、その教育を受けた子どもがこれからの日本を作っていくのです。つまり、教育の目的・目標を理解することで、日本が向かう方向が予測できるようになるのです。
これからの日本を作っていく人を作る教育がどのような目的・目標を理解することは、全員にとって、とてもメリットのあることであると思います。
では、今回は日本の教育の目的・目標について説明していきたいと思います!
この記事は3部構成の1つ目の記事です。
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目次
目的と目標
いきなり出鼻を挫くようですが、まず、「目的」と「目標」の違いについて説明します。目的と目標は似たような言葉ですが、きちんと使い分けがあります。この使い分けを理解しておかないと、教育の目的・目標の構造を理解するのに時間がかかってしまいます。
目的・目標は広辞苑で以下のように説明されています。
目的:成し遂げようと目指す事柄。行為の目指すところ。 |
目標:目的を達成するために設けられた、めあて。的。 |
つまり、目的の方が目標よりも大きいものであり、目的を達成するために目標があるのです。
日本の教育の構造は、この目的・目標が繰り返しているという感じです。
一番大きい教育の目的があり、その下に教育の目標があります。そして、教育の下に義務教育などがあり、義務教育の目的・目標と続いています。
教育基本法
教育の目的が示されているものは「教育基本法」です。教育基本法にある目的を達成するために「学校教育法」「社会教育法」などの下位法が設けられています。
教育の目的

教育基本法第1条(教育の目的)※クリックすると条文が見られます教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。 |
上記の文章は、教育基本法第1条(教育の目的)の条文です。教育基本法は、現行の教育に関する法律の中で最も上位のものであるため、教育基本法に規定されている教育の目的が日本の教育全体の目的と言えます。
教育基本法によると、日本の教育の目的は
- 人格の完成
- 平和で民主的な国家及び社会の形成者の育成
- 心身ともに健康な国民の育成
という3つの目的があると読み取れます。
しかし、この教育基本法の目的は抽象的すぎてどのような人物かわからないと思います。
疑問点
- 人格とはどのようなものなのでしょうか。
- 平和で民主的な国家・社会の形成者とはどのような人物なのでしょうか。
- 健康な国民とはどのようにして育成されるのでしょうか。
教育の目標
教育基本法の教育の目的を具体化させたものとして教育基本法第2条(教育の目標)
教育基本法第2条(教育の目標)※クリックすると条文が見られます教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。 |
この規定にある目標を大きく「能力」と「態度」に分類できると考えています。また、態度の項目はとても多いので、さらに「人を大切にする」「生き物を大切にする」「社会を大切にする」と分類することができると考えました。文章ではわかりずらいので、箇条書きにしたものが以下にあります。
能力

- 幅広い知識と教養
- 創造性
- 個人の能力
- 健やかな身体
疑問点
- 幅広い知識と教養とはどのようなものなのでしょうか?
- 創造性とは一体どういうもので、どのようにすると育成することができるのでしょうか?
- 個人の能力を開花させるにはどのようにすれば良いのでしょうか?
- 健やかな身体はどのようにして作られるのでしょうか?
態度
人を大切にする

- 真理を求める
- 豊かな情操
- 道徳心
- 自主・自律の精神
- 男女の平等を大切にする
- 自他の敬愛と協力を大切にする
※情操:感情のうち、道徳・芸術・宗教的など文化的・社会的価値に対して持つ複雑で高次なもの。素晴らしいものに対して感動したり、人を愛することに心地よさを感じることなど。
※敬愛:うやまい、親しみの心を持つこと。
疑問点
- 真理を求める態度はどのように身につけられるのでしょうか?
- 豊かな情操はどのようにして育成できるのでしょうか?
- 道徳心はどのようにして育成できるのでしょうか?
- 自主・自律の精神はどのようにして生まれるのでしょうか?
- 男女の平等を大切だと思うにはどのようにすれば良いのでしょうか?
- 自分や他人に親しみをもち、協力を重視するにはどのようにすれば良いのでしょうか?
生き物を大切にする

- 生命を大切にする
- 自然を大切にする
- 環境の保全に寄与する
疑問点
- 生命・自然を大切にする態度はどのようにして育成されるのでしょうか?
- 環境保全に貢献しようと思う態度はどのようにして育成されるのでしょうか?
- 環境保全に貢献しようと思う態度はどのようにして育成されるのでしょうか?
社会を大切にする

- 勤労を大切にする
- 正義と責任を大切にする
- 主体的に社会の形成に参画・発展に寄与する
- 伝統・文化を大切にする
- 国・郷土を愛する
- 他国を大切にする
- 国際社会の平和と発展に寄与する
疑問点
- 勤労を大切にするとはどのような状態なのでしょうか。
- 正義と責任とはいったい何で、どのような状態が大切にしている状態なのでしょうか。
- 主体的に社会に参画するにはどのような態度が必要なのでしょうか。
- 伝統・文化をどのようにすると大切にできるのでしょうか。
- 国や生まれ育った街をどのようにすると愛することができるようになるのでしょうか。
- 他国を大切にする態度はどのように育成できるのでしょうか。
- 国際社会の平和・発展に貢献する態度はどのようにして育成できるのでしょうか。
教育基本法の教育の目的・目標まとめ
以上が、教育基本法の教育の目標です。教育の目的よりも具体的になり、これらの目標をすべて満たすことで教育の目的が達成することができると考えられています。
つまり、教育の目的である「人格の完成」「平和で民主的な国家及び社会の形成者の育成」「心身ともに健康な国民の育成」を達成するためには、上記の各目標を達成する必要があるのです。
また、これらの各目標を達成することで目的が達成するということは、教育の目的を分解したものがこれらの目標なのです。この要素分解という理解が、教育の目的・目標を理解するのに重要になってきますので、意識しておいてほしいです。
各目標をリスト化したものの下に、各目標に対して疑問点を書いています。教育の目標は、教育の目的よりも具体化されましたが、まだまだ抽象的で現実の教育や子どもの姿に結びついているかどうかわかりません。教育の目標が抽象的であるため、上記のような疑問が出てくるのです。
これらの疑問に応えるように、教育の目標が分解されていきます。
教育の目標を実現するために、「義務教育」「学校教育」「家庭教育」「幼児期の教育」「社会教育」などに分解されていきます。この記事では「義務教育」のとりわけ小学校を中心に深堀していきたいと思います。
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参考文献
- e-Gov(電子政府の総合窓口 イーガブ、総務省) 教育基本法
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